薬食同源でアトピー対策

アトピー性皮膚炎に限らず、皮膚病の様々な症状の改善や、健やかで美しい肌の維持には食養生がかかせません。

健康な皮膚の回復のためには、薬食同源な食事や食べ方、肌質にあったスキンケア、必要に応じて体質と症状に合わせた漢方薬がアトピー改善から美肌への最短の道を開いてくれます。

アトピー改善の為に極力避けたい食材

まずはアレルギーを起こしやすい食材を避けましょう。

特に症状が激しい時は以下のような食材は避けてください。

  • 肉類…牛肉、鴨肉、羊肉(ジンギスカン)など各種
  • 牛乳および乳製品、魚介類、卵、揚げ物、砂糖(甘いもの)
  • 甘いもの…チョコレート、ケーキ、甘いお菓子など 甘い飲み物:缶コーヒー、甘い清涼飲料など
    砂糖不使用のジュース類は痒みが出なければOKです。
  • 油もの…唐揚げ、とんかつ、天ぷら、から揚げなど揚げ物全般
  • 香辛料の多い…キムチ、カレーライス、胡椒
  • 加工食品…ポテトチップス、ファーストフード、インスタント食品、スナック菓子、煎餅
  • 食物繊維の少ない食品…餅など
  • アルコール…ビール、お酒など
  • タバコ

その他アレルギー反応が検出された食材 (卵、牛乳、大豆、エビカニなど魚介類、蕎麦)ついては5年~10年程度、摂取しないようにすると再び食べれるようになります。

中医学では、エビ、カニ、ウニ、タコなどやお魚の刺身、納豆などは発物(はつぶつ)と呼ばれ、アレルギーを起こしやすいと言われています。極力避けるようにしましょう。

理想の食事パターン

食事については、食事制限とよくいわれますが、あれもいけないこれもいけないというよりまず、積極的に食べられるものを食べて食欲を満たすことで、悪化しやすい食材や食事を減らしましょう。

積極的に召し上がってほしい食材は、旬の野菜を中心に、

  • 穀類4-5割…米、小麦、大豆、ごま、粟、稗、などで極力未精製の穀類
  • 野菜4割…キャベツ、ちんげん菜、白菜、トマト、きゅうり、海草、小松菜、レタス
  • 動物性食材は1-2割…肉類、魚介類、卵、乳製品

としましょう。 味付けも、できるだけ低塩、低脂肪、低糖を守って。

一増一減(いちぞういちげん)の食養生

アトピーで食養生は大切ですが、いままで毎日口にしていたチョコレート、カレー、から揚げ、スナックなどいきなり食事の改善が困難な場合は少しずつ変えて行く感じで、季節の野菜植物性のものを一品増やし、その代わりに揚げ物、甘いもの、動物性のものを一品減らしましょう。

良い食材を一品増やして避けたい食材を一個減らすので、私たちはこれを「一増一減」(イチゾウイチゲン)と呼んでいます。

皮膚は内臓の鏡

中医学で 「皮膚は内臓の鏡」 と考えられています。特に、アトピーなどの皮膚病にとって便秘も下痢も大敵で、極力毎日理想の排便に近づけることが皮膚トラブル改善の近道です。

理想の排便の決め手は「食物繊維」と「発酵食品」。(薬食同源で快便を参照) 毎日毎食の食卓で、水分はとにかく「食物繊維」や「発酵食品」のメニューを考えるのは大変に思えますが、実は基本の「主食」と「汁物」ものがしっかりしていれば、あとはその日の好みに応じたメニューを楽しめます。一般的な、日本の食卓では「主食」と「汁物」で食事の半分以上を占めるのが通例ですから、まずは「主食」と「汁物」から美肌のための理想の食事にアプローチしてゆきましょう。

「主食」としては、「玄米」や「雑穀ごはん」「蕎麦」など穀物全体を使用した全粒粉の穀物を使用すると繊維も豊富で、タンパク質やビタミン、ミネラルのバランスもとれています。

主食は全粒粉のすすめ

食物繊維も含めて、食事の栄養バランスを毎日毎回考えるのは大変です。その点では、現在の人気のマクロビオティックなどで「一物全体」といわれているように、玄米をはじめとする粟(アワ)稗(ヒエ)蕎麦(ソバ)大麦などの全粒粉の穀物を主食にすることをお勧めします。

これらの全粒粉(ゼンリュウフン)による食事は、栄養のバランス良く配合されています。本来、玄米には食物繊維もタンパク質もミネラル、ビタミンも含まれています。が、玄米をわざわざ精製して白米にしてしまうと炭水化物以外の栄養素が落とされてしまいます。そんなわけで、できれば主食は「玄米」が好ましいのですが他の家族の方の意見もあるでしょう。店頭でも、玄米食の実現は少々難しいケースが多いようです。

そんなときは、粟(アワ)稗(ヒエ)黍(キビ)蕎麦(ソバ)大麦などの雑穀類をうまく利用すると良いでしょう。白米にまぜて炊いても良いですし、スープや味噌汁にいれても良いでしょう。雑穀も現在はいろいろなものが出回っています。

玄米にしても雑穀にしても種子ですので¥栄養も豊富ですが農薬などをたくさん使って栽培された場合には、農薬成分も種子にたまりやすくなるので極力無農薬、低農薬のものが好ましいといえます。国産の雑穀は比較的安心といえますが、なかでも7種類の雑穀をブレンドした日本を代表するお料理研究家の辰巳芳子先生考案の「スーパーミール」は安心できておすすめで味覚的にも和洋を問わずお使いいただけます。

お米が「白米」よりも「玄米」のほうが好ましいのとおなじように、パンも精製した小麦粉でつくられたものより全粒粉(ゼンリュウフン)のパンのほうが好ましいと言えます。

また、お子さんに限らずアトピー性皮膚炎や糖尿でお悩みの方々の中にはパン好きの方が多かったので、玄米40%と雑穀米の黒米、赤米、緑米配合の玄米パンを株式会社イヌイと老舗漢方薬局の「二幸堂」と共同開発しました。この玄米パン「養麗玄米(ヨウレイゲンマイ)パン」も防腐剤、膨張剤無添加で血糖が上がりにくいので「からだのゴミ」がたまりにくい玄米パンです。

最近日本でも知られてきた「トウモロコシのひげ」や「みかんのスジ」も同じように「からだのゴミ」を出しやすくする食材です。お米やお砂糖同様、私たちが捨てているものの中に健康を守る鍵がたくさんあるのも面白いことです。

数千年に及ぶ中医学の歴史の中で、歴代皇帝のように贅を尽くした食事をしながら健康を維持できたのは、「昆布」のように楽しく食べながら、知らず知らずの内に「からだのゴミ」の発生を防ぎ捨てる食材をうまく利用していたからといえるでしょう。

漢方薬などのおくすりとともに食事や生活習慣にも注意してくれた方々はやはり早く確実に成果がでています。

男性より女性の方が改善しやすく、家族に連れられたお子さんの治癒が早いのは、食事を管理する家族の方、おもにお母さんが一緒に聞いてくださったからでしょう。

出汁について

また「汁物」については、お味噌汁にしてもスープにしても、「出汁(ダシ)」が栄養的にも味覚的にも決め手になります。「出汁(ダシ)」としてはまず昆布とシイタケがとてもおすすめで、味覚的にも昆布や椎茸はカツオや煮干しなど他の食材の生臭さなど消してくれます。その上、グルタミンなどの旨み成分がでることで味覚的に一段上の味となり、さらに、

  • 吸収を穏やかにしてくれる水溶性の食物繊維
  • 快便の形成を助けてくれまる不溶性の食物繊維

の両方の食物繊維も溶け出すので理想の「便ちゃん」の強い味方になります。

日本を代表するお料理研究家の辰巳芳子先生も毎回の講義で「これからは、男性も女性も白い粉で味噌汁やスープを作らないで、キチンと昆布と椎茸で出汁をとること。」を力説されています。

これからの時代、きちんと出汁(ダシ)をとることは

  • 美肌のために
  • 生活習慣病の予防に
  • 何より美味しい笑顔のために

男性にも女性にもとても大切なこと。

ここでさらにお味噌汁であれば、酵素の生きた味噌を使うことをおすすめします。生きた酵素は体内で善玉菌を活性化し、結果的に免疫が活性化されます。

酵素は生きた微生物ですから常温で放置すれば繁殖してビニールなどの容器が膨れます。冷蔵保存すれば、繁殖が抑制されて容器が膨らむことはありませんが、常温で膨らまないお味噌は既に酵素が死滅してしまっているので、酵素による腸内菌の活性化の働きが無くなってしまいます。

お味噌もきちんと麹で発酵したお味噌、常温でどんどん膨らむお味噌を調理につかえば食養生も楽になります。 いずれにしても、アトピー性皮膚炎改善に大切なのは主食の「ごはん」と「汁もの」ということになります。

食事の量について

食事の内容と同じくらい食事の量は大切です。

どんなに食事の内容が理想的であっても、からだが欲する以上に食べてしまっては、その分だけ身体にとって不要な「からだのゴミ」を増やす結果となってしまいます。逆に、少量であればチョコレートやアイスクリームなど嗜好品的な食事も皮膚症状に影響を与えない場合もあります。

また、同じ食事であっても食事の順番によって「からだのゴミ」が生まれたり逆にきれいに消化されたりします。食事の順序や食事の仕方へのちょっとした配慮で健康が近づきます。特に、小さなお子さんの食習慣はお母さんお父さんのマネを無意識のうちにすることが多いので、お子さんと一緒に順序良く、よく噛んで食べる所を見せることが大切です。

自分はとにかく早く食べ終えて、お子さんに少しでも多く食べさせようとする献身的なお母さんを良くみかけますが、一緒によく噛んで食べていることを見せると食べたものが本当の血となり肉となって、

  • 綺麗な素肌
  • 柔軟な筋肉
  • しなやかで強い骨格

の元気なお子さんに育ちます。

まず食事の量について「腹八分目」が理想ですが、「腹八分目」といってもおなかの中を見るわけにいかないので、食後の感じで判断します。

  1. 胃の膨満感がない
  2. 身体が重くない
  3. 眠くならない

こんな感じの食事の量のことを「腹8分目」と考えましょう。お子さんの場合、食後すぐ眠たくなるようであれば、

  • 一口減らすか
  • 山査子(サンザシ)

などのハーブを服用させておきましょう。

神さまの処方にまさる食事の順序

アトピーの食養生については、何を食べ、何を食べないかも大切ですが、食事の内容、食事の量に続いては食事の順序も大切です。

食事の順序については、中医学に古いことわざがあるくらい大切です。

「喫飯先喝湯、勝過神薬方」 (ご飯のとき先に汁を飲むのは神様の処方に勝る)

前述の昆布や椎茸など食物繊維と酵素が豊富な「出汁(ダシ)」のスープや味噌汁を最初に口にすると、食物繊維のおかげでゆっくり吸収され、酵素などのおかげで消化を促進してくれるので「からだのゴミ」がたまりにくい食事となります。

また味噌汁やスープが最初におなかにはいることで、空腹感が和らぎ、ゆっくりよく噛めたり食べ過ぎの予防になる結果、やはり「からだのゴミ」が溜まりにくくなります。適切な量の食事が十分消化されて吸収されると本当の血となり肉となるので、食べれば食べるほど美肌や強い筋肉骨格のための食事となります。

まずは、スープや味噌汁、粥、野菜の順でゆっくり噛んで食べることが大切です。 そして、胃腸に負担をかける下記のような食材については控えめにしながら、食べるときは牛乳のような液体の食材であってもやはりよく咀嚼することを意識していたいものです。

こうして、胃腸への負担を軽減することは十分な消化吸収につながり「からだのゴミ」を溜めにくくなり、アトピーなどの皮膚トラブルの改善にも美肌つくりにも重要です。

忙しくてもできる簡単アトピー食養生

中国医学に伝わる古いことわざに 「欲得長生、腸中常清」(長生きしたかったら常に腸をきれいにしておくこと) とあります。現代社会では化学添加物、抗生物質は避けて通ることができない状況になってしまいましたが、なるべくひかえたいものです。

また、香辛料やドレッシングは控えめにしながら、味付けは天然塩、胡麻油、醤油、お酢がオススメです。

食養生は体質改善と健康つくりの楽しみとしていただければ幸いです。 特に香辛料については、症状が強いときのお子さんの好きなカレーライスやマーボ豆腐、ラードたっぷり焼きそばなどは香辛料や動物性の油が多く身体が熱を持ちやすくなります。カレーライスなどに限らず、家族が見ていて食後にかゆみが強くなるようであれば極力さけるようにしましょう。

ただし、カレーライスもルーを使わないものはかゆみが少ないようです。かゆくなりにくいカレーの簡単レシピはスパイスだけで作る簡単インドカレーをご参照ください。

また、食間のスウィーツは魅力的かもしれませんが、症状が悪化することが多いようです。なつめやプルーンなどドライフルーツなどで代用できると良いのですが、どうしてもチョコレートなどを食べたくなったら、先に果物や野菜を食べましょう。

リンゴなら1/4みかんなら1/2程度を齧った後、ひとかけらのチョコレートが習慣になると悪化しにくいでしょう。白糖やカカオマス、乳化剤など不使用のチョコレートであれば更に安心です。お母さんも一緒に試してもらえば、シミやホクロが減るかもしれません。

袋の味よりおふくろの味「浸し昆布」

日々の相談のなかでも、食生活が大切なことを身にしみて感じています。が、近年、多くの女性が仕事を持たれていて調理に手間をかける時間がなく、冷凍食品やレトルト食品に頼ることが多いようです。冷凍食品やレトルト食品でも、最近は添加物不使用などの製品も見かけるようになりました。

でも、そんな忙しいときでも前述のように昆布を一晩なべに浸しておくだけで、昆布の滋養分のミネラルや食物繊維が十分引き出されます。 この一晩水に浸すだけの「浸し昆布」でも、出汁の中に溶け出した水溶性の繊維は便秘の予防になり、血糖の上昇を穏やかにしてくれます。 昆布をそのまま食べても「快適なお通じ」の材料となりさまざまな病気のもとになる「便秘」解消になります。 アトピーなど皮膚のことでお悩みの方はもちろん、ダイエットや生活習慣病・生理不順でお悩みの方にとっても、便秘の解消は必須です。 くすりで便秘を解消するだけでなく、食物繊維の多い食事や、適切な油分の摂取と運動で軽減しておくことができれば、くすりに頼らず再発を防止できます。

前述の中医学漢方の古いことわざ 「喫飯先喝湯、勝過神薬方」(食前の一杯の椀汁は神の処方に勝る。) も、まずは昆布出汁のように食べ物の吸収をおだやかにする汁を先におなかに入れておくことで、簡単にアトピーの食養生ができます。

お母さんが昆布を浸すヒマもないほど忙しければ、お父さんをはじめとする男性でも簡単にできます。水の中に1Lあたり10gの昆布を浸すだけです。

これからは、男性も(もちろん女性も)「浸し昆布」。水をインスタントラーメンやインスタントスープにつかうだけでも健康に一歩近づくでしょう。

日本を代表するお料理研究家の辰己芳子先生も、男女を問わず出汁をひく時代とおっしゃっています。 出汁(ダシ)のレシピについて 忙しくてもできる出汁(ダシ)「浸し昆布」レシピ。レシピというのもおこがましいくらい簡単です。

おやすみの前に 1Lにつき10cm角の出汁(ダシ)昆布をつけて冷蔵庫へ。

お子さんやお父さんでもできるので一家の習慣としていただければ幸いです。辰巳芳子先生の出汁(ダシ)レシピあなたのためにをご参照ください。

お仕事が休みの日などには本格的な「出汁」をひいて、仕事の忙しい普段は簡略した昆布だし=一晩「浸し昆布」をベースにした食養生を守るなど、主食と出汁を中心に、まずは 「袋の味よりお袋の味」 に一歩でも近づけましょう。

まとめ

アトピーから美肌を目指す食事に関していえば、

  • 一つには「出汁(ダシ)を引くことと『主食』を全粒粉にすること」
  • 二つには「食事の量を守ってよく噛むこと」

よほどの暴飲暴食でなければ、アトピーのつらい症状も改善しやすくなります。

お薬にばかり頼るのではなく、お子さんの「自分自身の治る力」を引き出すことが大切です。 中国のスープやお粥はバリエーションも多く、毎朝が楽しみなくらいです。

それだけ、スープやお粥を大切にする習慣が残っているのでしょう。和食が世界遺産に登録され、日本の料理も世界に誇れるものがあります。