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新型コロナウィルスについて・・・中医学の予防と養生と治療
2020年5月10日のブログを一部加筆修正しました。
新型コロナウィルス(Covid-19)の養生・予防・治療
こんにちは。
「治療よりも予防、予防よりも養生」をコーポレートポリシーに「薬を売らないくすりやさん」を目指す、今年で創業97年を迎えるイヌイ薬局です。
日本では終息の気配がまだ見えない新型コロナウィルスですが、世界中が同時に2〜3週間ロックダウンすれば、世界に平穏が取り戻せるかもしれません。新型コロナウィルスも、世界がひとつになることの大切さを世界のリーダーたちに教えてくれているのかもしれません。
ここでは、武漢で実際に中医学を使った治療にあたられた張白礼 国医大師(こくいたいし:中医学の人間国宝のような中医師)をはじめとする現場で活躍された中医師に教わった、新型コロナウィスの治療と予防、養生についてお伝えします。中医学の三方三薬(さんぽうさんやく)と呼ばれる、「清肺肺毒湯(せいはいはいどくとう)」をはじめとする漢方のお薬が感染初期では90%の有効だったなど一定の効果をあげたようですが、やはり何より予防と養生で感染しないことが一番とのことでした。
美しい湖の町「武漢」から新型コロナウィルス(Covid-19)が発症したわけ
雨上がりには雨に洗われた並木からむせ返るほどの草いきれが立ち込める緑と湖の美しい町「武漢」、緑と湖の美しい町から始まった今回の新型コロナウィルスは、世界的にもまだまだ感染の蔓延が続いています。
婦人科の研修研鑚の為お世話になった「湖北中医薬大学」は、日本の病院に比べ規模が大きく、さしづめ日本のショッピングセンター・イオンモール鳥取北店を14回建てにしたような広さがあり、ご指導いただいた賀教授、姜教授は、日本から数千キロの遠い町へと研修に訪れた私達を家族のように労い迎えてくれました。
新型コロナウィルス(Covid-19)予防と換気
そんな町並みも人柄も穏やかな武漢は、すっかり新型コロナウィルスで有名になってしまい、ウィルスの町のようなイメージですが、実際は古い街並みときれいな水に恵まれた湖の町。
また、武漢に続いて急速に新型コロナウィルスの感染者が拡大してしまったイタリアのロンバルディア地方も小さな池が多く美しい町だそうです。豪華客船にしても屋型舟にしても、水の多いところで爆発的に感染を拡大しました。国外への移動手段としては航空機によることが圧倒的に多いはずなのに、比較的空路での感染が少ないのはそのせいかもしれません。
中国の衛生局(日本の厚生省にあたる部署)で作成された新型コロナウィルス対策は、この短い期間に7回の改定を重ね、現在の第7版では15~30分おきの換気が推奨されています。
人が多数集まる集会は極力避けるに越したことはありませんが、やむを得ない時は30分おきのこまめな換気が大切です。
新型コロナウィルスが完全に封じ込めることができるかどうか不透明な現時点では、こまめな換気はこれからの社会的な習慣として大切な生活習慣と考えられます。
緊急事態宣言などが解禁になったあとも新型コロナウィルスが完全に終息していなければ、人々が集まる場所での換気は特に大切になってくると思われます。鳥取のような地方では、窓をあけての換気ができますし、地価からいっても三密をさけやすいのですが、都市部での高層ビルなどは空気を入れ替えるための設備などが必要になるかもしれません。
新型コロナウィルス(Covid-19)と中医学
現在ニュース報道のなかでは、まだ新型コロナウィルスに有効な治療薬は開発されていません。そんな中で、武漢のコンテナ病院に手伝いに入った中医医師たちによる中医学による処方が一定の効果をあげているということで、漢方の人間国宝と言われる国医大師の論文や講演を何度も学びました。
今回の新型コロナウィルスによる肺炎患者の特徴は、症状としては
- 発熱、微熱
- から咳
- 倦怠感でとにかく身体が重い倦怠感、眠気
などといわれています。そして中医学的に特に特徴的なのが「舌の苔」がとても厚くなったり、黄色くなったりしているのが一番の特徴といわれています。このような、厚い「舌の苔」を呈する症状を中医学では「痰湿(タンシツ)」といって、体内に不消化物や老廃物など不要なゴミがあることを示しています。
「舌の苔」が厚くなるのは
- 食べ過ぎ、飲み過ぎ
- 胃腸の疲れ、虚弱
- 慢性的な疲労、長期的な疲労の積み重ね
- 下痢、便秘
などによって
- 食べ過ぎや食べたものが十分に消化されなくて不消化物になったり
- 食べ過ぎによって発生した不消化物や老廃物が十分に排泄されない
ことが原因と考えられます。
こうして、消化器系の不調で生まれた「からだのゴミ」=「痰湿(タンシツ)」が重なると、中医学では肺に貯まるとされています。中医学の定石として、脾胃は生痰の源、肺は貯痰の源=(痰)湿は脾胃(消化器)で生まれ、(痰)湿は肺に貯まると古来から言われ、痰湿が少ないうちは「舌苔」もうすいのですが、たくさん溜まるにつれ「舌苔」が厚くなって行き、時間の経過とともに黄色くなったり、さらに長い痰湿が貯まり続けると緑色になりさらに黒くなって行きます。
そして、この肺に溜まった痰湿を新型コロナウィルスが好むようで、新型コロナウィルス感染者に「舌苔」の厚い方が8割ときいています。
新型コロナウィルス(Covid-19)感染予防のためには
- 食べ過ぎず、飲み過ぎず
- 腹八分目
- よく噛んで
- 夜21時以後などの寝る前の飲食を控える
ことも大切な生活養生と言えます。
「舌苔」について詳しくは拙著の電子書籍舌苔をきれいにする食事と漢方をご参照ください。
そんな中で、武漢のコンテナ病院に応援に入った中医医師たちによる中医学による処方が一定の効果をあげました。
治療に使われた代表的な処方が「清肺排毒湯」という処方で、日本の写真週刊誌フライデーの4月17日号でも取り上げられました。
清肺排毒湯は
- 身体の不要な湿の排泄を促進する・・カッコウ、蒼朮などの生薬
- 身体の炎症を抑える・・・金銀花、連翹、石膏などの生薬
- 身体の免疫を増強する・・・黄耆などの生薬
から構成され、20種類以上の沢山の生薬が使われています。2020年4月中旬第2月曜から、中国からイタリアへカプセル化されたものが輸出されました。日本には清肺排毒湯そのままの処方はありませんが、既存のお薬を組み合わせることで同じような処方を構成することができます。舌苔や清肺排毒湯などについて詳しくは、鳥取のイヌイ薬局、県外の方は以下のお近くの薬局店頭にてご相談ください。
一般社団法人 漢方産業化推進研究会 漢方薬局リストを作成しました(2020.05.08更新)
新型コロナウィルス(Covid-19)の予防と養生
新型コロナウィルス(Covid-19)感染予防の基本は
- 手洗い、うがい、マスク
- 感染源から離れる、対人距離を保つ、人混みには行かない(三密を避ける)
- 30分おきのこまめな換気。
- 腹八分目の免疫を守る生活
- 養生生活を万全にする(十分な睡眠、規則正しい生活、バランスの良い食事、過労しないこと)
- 予防は陰陽のバランスを取ることが大切。
中医学の古くからのことわざに、大疫(ひどい感染症)が流行するたびに中医学は大きく進歩してきた。と言われています。中医学では、扶正祛邪(ふせいきょじゃ)といって、免疫を強化してウィルスなどの病邪を入れないことが何より大切と言われています。ここで新型コロナウィルス(Covid-19)感染症予防に大切な優れものたちをご紹介します。
玉屏風散(ぎょくへいふうさん)
マスクよりもアルコールよりも何より大切なのが、お身体の免疫を増強すること。免疫を調整する処方として、玉屏風散(ぎょくへいふうさん)が代表的な処方で、特に主薬の黄耆(おうぎ)は中国、韓国、米国でも人気のある生薬です。アメリカの代替医療の父と言われるアンドルー・ワイル博士も黄耆(おうぎ)のサプリメントを製品化されています。黄耆の学名をアストラガルスといいますが製品名はそのままアストラ8となっていました。中国のお薬としては玉屏風散(ぎょくへいふうさん)です。
梅干し、レモン、ビタミンC
私たち日本の食文化から考えると「梅干しを一粒入れたお茶を、ゆっくり喉を潤しながら飲んでおく」ことも効果的です。新型コロナウィルス(Covid-19)に限らず、ウィルスや雑菌は「酸」に弱いので、昔ながらのおばあちゃんの智恵で、食事の梅干しの習慣は大切です。日本を代表するお料理研究家の辰巳芳子先生も毎年、梅の季節に梅干しや梅エキスをつくることを「梅仕事」といって、大切な家族を守るための重要な習慣と言われています。
また、粘膜を丈夫にしてくれる酸として、ビタミンCを意識的に豊富に摂取しておかれることをお勧めします。ビタミンCはアスコルビン酸という酸であり、粘膜のビタミンとも呼ばれ、粘膜を丈夫に保ってくれると言われています。新型コロナウィルス(Covid-19)に限らずウィルスも雑菌も必ず鼻粘膜や喉粘膜から侵入するので、ビタミンCで粘膜を丈夫にして、こまめなうがいなどで清潔を保っておきましょう。
まとめ
新型コロナウィルス(Covid-19)は予防と養生が大切
- こまめな換気で湿を好む新型コロナ(Covid-19)を寄せ付けない
- 食べ過ぎず、飲み過ぎず
- 腹八分目
- よく噛んで
- 夜21時以後などの寝る前の飲食を控える
- 免疫力アップが何より
- 特に粘膜を丈夫で清潔に
- ビタモンC、梅干し、こまめな含嗽(うがい)
そして基本は
- 基本は手洗い、うがい、マスク
- 感染源から離れる、対人距離を保つ、人混みには行かない
- 無症状感染者の方は中成薬・漢方薬の服用によって発症させない可能性があります。
- 養生生活を万全にする(十分な睡眠、規則正しい生活、バランスの良い食事、過労しないこと)
- 中医学の予防の考え方は陰陽のバランスを取ることが大事です。