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アトピー肌の薬食同源…食用油について
こんばんは、今日もブログをお読みいただきありがとうございます。
鳥取で、創業九十余年の薬食同源な漢方相談薬局を目指す、イヌイ薬局の乾(いぬい)です。私たちのイヌイ薬局には、毎年1000件以上の不妊症やアトピーの方が相談に来局されます。その多くは、食事が原因のことが多く、アトピーの方の食養生については、薬膳レシピもご参考ください。
アトピー肌の相談をいただく中で気がついたこと、このブログで詳しくお伝えしています。今日は、油についてお伝えします。
良質な油は高価な美容液にもまさる
油というと、とかく悪者になりがちな今日この頃ですが、人間の身体にとって油は以下のような大切な役を果たしています。
- 各種ホルモンの原料
- 全身の関節の潤滑油
- すべての細胞膜の保護
ということで、油はとても重要な役割をしています。ただ、過剰に摂取してしまった脂肪は身体の健康にとって悪影響を及ぼし、中医学では過剰な油も糖も、タンパク質も「毒」としています。
特に、アトピーの方々の肌は非常に乾燥しやすい方が多いので、アトピー性皮膚炎でも急性期の赤味、痒み、ジュクジュクがおさまって、美肌作りの段階に進まれたら、良質のタンパク質と油=脂肪酸が必要です。
知花くららさんや森理世さんをミスユニバースの世界大会で優勝・入賞に導いた、元ミスユニバース日本の栄養コーチであるエリカ・アンギャルさんも、オリーブオイル、アボカドオイル、アーモンドなどの油は積極的な摂取を進めています。
エリカ・アンギャルさんも「良質な油は高価な美容液に勝る。」と言われる一方で、マーガリンなどに代表されるトランス脂肪酸は絶対に避けることをオススメされています。
(詳しくは 世界一の美女になるダイエット・エリカ・アンギャル著参照)
ということで、まずは私たちが普段食事にしている油の分類からお伝えします。
食用油の種類について
食用の油は大きく分けるとまず、主に動物性の飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)と不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)の二種類に分かれます。
- 飽和脂肪酸はほとんどが動物性で、植物性のものはココナッツオイル(240℃で燃えます)が代表的です。こちらは中鎖脂肪酸(ちゅうさしぼうさん)MCTオイル(MedeumChainedTriglycelyde)と呼ばれ、とても燃焼しやすいので、2021年ではMCTオイルがちょっとしたブームとなっています。が、動物性の飽和脂肪酸は、一般的に身体の中で固まりやすいので、血管にこびりついてしまうと健康に様々な悪影響を及ぼすことがあります。
- もう一種類の油が不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸は、オメガ3、オメガ6、オメガ9などに分類され、最近注目されているのがオメガ3の油です。
オメガ3脂肪酸の多くはαリノレイン酸で、エゴマ油やアマニ油、青魚の油などがあります。
また、オメガ6脂肪酸の多くはリノール酸で、ゴマ油などが代表です。オメガ9脂肪酸の多くはオレイン酸で、キャノーラ油やオリーブオイル、米油などが代表です。
ここまでをまとめますと、細かくは以下の4タイプに分類されることになります。
- バターや牛肉、ココナッツオイルなどの飽和脂肪酸と呼ばれる油
- オリーブオイルなどのオメガ9系の不飽和脂肪酸
- アマニ油、えごま油、アザラシ油などのオメガ3系の不飽和脂肪酸
- マーガリン、コーン油、大豆油、などのオメガ6系の不飽和脂肪酸
に分けられます。
このなかで3のアマニ油、えごま油、アザラシ油などのオメガ3系と4のマーガリン、コーン油、大豆油などのオメガ6系の脂肪酸は身体の中で作ることができない脂肪酸なので、必須脂肪酸、と呼ばれ毎日の食事から摂取する必要があります。
理想の食事はオリーブオイルを中心
実際の食生活では、一価の不飽和脂肪酸と呼ばれるオリーブオイルを中心に、オメガ9系統の油を中心に使いましょう。
オメガ6の油が多ければ身体機能は亢進し、オメガ3の油が多ければ身体機能は安定しやすくなります。
代表的なオメガ6は、コーン油やベニバナ油に多く含まれるリノール酸で、オメガ3の代表はえごま油や亜麻仁油(あまにゆ)に多く含まれるαーリノレン酸です。
アザラシの油なども紹介されることがありますが、日本では入手が難しいため、手軽にお求めやすいアマニ油やえごま油、青魚の油がおすすめです。
一日の油の摂取量は50gが理想と言われていますが、このうちの7~8割はオリーブオイルに代表されるオメガ9のオイルで、残りを以下におつたえするように
オメガ3:オメガ6=1:2がのぞましいと言われています。はオメガ3のαーリノレン酸を摂ることが健康のためには望ましいのですが、オメガ9があってはじめてのバランスになります。
オメガ3とオメガ6の油の比率
最近話題なのが、このオメガ3系の油です。
そして、身体のなかでオメガ3の脂肪酸とオメガ6の脂肪酸のはたらきは、ちょうど、車のブレーキとアクセルのように
- オメガ3(αリノレン酸)の油はブレーキの役割・・・アレルギー抑制、炎症抑制、血管拡張
- オメガ6(リノール酸)の油はアクセルの役割・・・アレルギー促進、炎症促進、血管凝固
の役目を果たします。
身体の中ではオメガ3の油とオメガ6の油が拮抗して働きます。最近の日本人の食生活の中では、アクセル役のオメガ6の脂肪酸の比率が高まり、魚の食生活の減少もあってブレーキ役のオメガ3系の脂肪酸の比率が減っています。ハンバーガー、フライドポテト、ファーストフード、カップラーメン、スナック菓子、カレー、ドレッシング、マヨネーズなど欧米化した食事ではオメガ6の油が多く口に入ってしまいます。店頭でいただく相談のなかでもアトピー性皮膚炎などの原因もこんな食習慣にあると思われます。アクセル役のオメガ6も身体には必要な油ですが、上述のように放っておくとオメガ6ばかりを摂取してしまう最近の食環境です。ですから、漢方のお薬と並行して、これらオメガ6が多い食材を減らしす食養生を守るようにしていただいています。
オメガ3の摂取が少なくなり、オメガ6の摂取が増えたといってもオメガ6も身体にとっては、大切な必須脂肪酸です。大切なのはブレーキ役のオメガ3とアクセル役のオメガ6の比率で、一般的に
オメガ3:オメガ6=1:2
の比率が良いとされています。番組でも紹介されていましたが、現代のようにオメガ6が多すぎると血液が固まりやすくなって心筋梗塞などのリスクや皮膚炎などのリスクが増えます。逆にオメガ3が多すぎると血液が凝固しにくくなって出血が止まらなくなったりしてしまいます。いずれにしても両者のバランスが大切ということになります。
アマニ油・エゴマ油のオメガ3が注目されるわけ
オメガ3の油については、中性脂肪の合成を抑える効果や、代謝を上げる効果も期待できる
ということで注目されていて、番組でも、小さじ1杯のアマニ油を1か月摂取してもらうと体重が減少したり、コレステロールの値が改善するという結果だったようです。
ただオメガ3の脂肪酸は、冷たい水の中に住む魚の油やアザラシ油、植物ではえごま油やアマニ油などに多く含まれていて熱に弱く酸化しやすいので加熱調理には向きません。揚げ物や炒め物などのご使用はお控えください。
また、光にも弱いので保管は冷蔵庫などの冷暗所が好ましく、開封後は1か月をめやすに、なるべく早めに使い切ることが大切です。
アマニ油など安心安全なオイルのお求めは、オンラインショップをご利用ください。
まとめ
油のなかでオメガ3とオメガ6はブレーキとアクセルの拮抗作用を持ち、
- オメガ3はブレーキ役で血液の凝固を防ぎ、炎症を抑制します。
- オメガ6はアクセル役で血液を凝固させ、炎症を促進します。
そして、オメガ3とオメガ6は比率が大切でオメガ3:オメガ6=1:2、が理想と言われています。
不足がちなオメガ3の脂肪酸は、熱と光に弱いのでドレッシングなどの利用がおすすめで、加熱調理や避け冷暗所の保存がおすすめです。
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