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不妊症の食事と漢方~生理痛はないのが当たり前~【前編】
イヌイ薬局には、毎年3000件以上の心と身体にお悩みをもつ方が相談にいらっしゃいます。
今回は相談の中でも多い「不妊症」の原因のひとつでもある「生理痛」について。
女性は一生のうち約35年間を生理と付き合いながら過ごします。
中国では「お嬢さんの生理痛や生理不順はお母さんの責任」と考え、女の子が初潮を迎える頃になると、
「生理が始まったら身体を冷やさないこと、過労はしないこと、刺激物の飲食は避けること、お酒は控えめに」
など、生理痛と生理不順の予防を教えます。
一方日本では、「生理痛は体質、生まれつきで仕方ないもの」と諦めている女性が多くいます。
ですが、原因を見極め対応すれば、必ず改善することができます。
順調な月経は安心安全な妊娠、出産の基本となるだけではなく、おだやかな更年期、そして女性自身が本来持つ健やかな女性の美しさを最高に引き出してくれます。
そんな月経のお話を西洋医学・東洋医学両方の考え方からお伝えします。
女性のリズムは7の倍数
中医学では女性のリズムを7の倍数で考えています。
7歳 歯が生えそろい、成長期を迎えます
14歳 初潮を迎え、女性の身体へと向かいます
21歳 身長が伸び切り、身体が整い、成熟期を迎えます
28歳 女性機能がピークを迎えます
35歳 肌のハリや髪のツヤに陰りが見え始めます
42歳 白髪が目立ち始め、女性機能が衰え始めます
49歳 少しづつ閉経に向かいます
2000年以上昔に記された「中医学のバイブル」とも言われる「黄帝内経(こうていだいけい)」に記述された女性の身体の変化ですが、現代の女性にもほぼ当てはまるのではないでしょうか?
この35歳以降の女性機能の下降リズムを自らの力で少しでも遅らせるのが本当のアンチエイジングと言えます。
正常な月経の目安
・月経周期
月経の始まりから次の始まりまでの間隔は、25~38日がひとつの目安になります。目安よりも長かったり短い場合は注意しましょう。
また月経周期には個人差がありますが、毎回同じ日数で刻むことが大切です。血液が減少しホルモンの生成が出来なくなると、周期が長くなります。
・月経の期間
月経期間にも個人差がありますが、3~7日が正常な期間で、やはり一定していることが大切です。
血液が減少しホルモンが不足してくると短くなる傾向が見られます。
・経血の量
一般的に経血の排泄量は2~3日目が多く徐々に減少しますが、総量で50~100mlが正常です。
年間12回、35年間では
50~100ml × 12 × 35 = 21000~42000ml(21~42リットル)
の血液を失うことになります。
中医学では「女子以血為本(女性は血をもって本となす)」と言われ、女性の美と健康は血液が源となっており、血液を補っておくことの大切さを説いています。
「血」と「気」はお互いバランスを取り合っていますが、月経の出血などで「血」が不足してくると相対的に「気」が余り、イライラしやすくなってしまうと考えられています。
月経の養生
血液を補う生薬には「当帰芍薬散」などに使われる「当帰(とうき)」が有名ですが、動物性生薬の「阿膠(あきょう)」と組み合わせた「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」が効果的です。
食材では、クコ、棗(なつめ)、牡蠣、レバー、緑黄色野菜などがオススメです。
特にクコの実は穏やかでありながら健康維持に大切な血液や精を養ってくれる生薬で、古来から仙人たちも食していたと言われています。
日本では杏仁豆腐などのデザートに2~3粒申し訳程度に添えられますが、大人で1日20~30粒程度を目安にお召し上がりください。
そのままでも食べることはできますが、炒め物やスープに入れたり、ラム酒漬けにしておくと、パウンドケーキなどのスイーツにもマッチします。
アメリカでも「Goji Juice」と呼ばれ、クコの実ジュースが親しまれています。
・クコの効用
性味は甘く、帰経(作用する臓器)は「肝」と「腎」で、アンチエイジングに欠かせない肝と腎の血液を補ってくれます。
明目(めいもく)といって視力を高めてくれるため、眼精疲労、ドライアイなどでお悩みの方は、菊花茶にクコの実を浮かべると更に効果が期待できます。
また、クコの葉には血圧を下げる作用があり、クコの根(地骨皮)」には皮膚の赤味や鼻血を改善する作用があるため、捨てるところのない生薬です。
おわりに
月経の周期・期間はそれぞれの意味、役目をもちます。ですから、月経のリズムが順調であれば安心安全な妊娠出産に近づき、更年期も穏やかに過ごすことができます。
後編では、月経周期とそれぞれの意味、そして養生法をお伝えします。
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