薬膳を楽しく～チャングムの誓いに学ぶ医食同源～・・第二話①床ずれに悩む王を苦しめた肉は？

今日も薬食同源イヌイ薬局ブログへのアクセスありがとうございます。

アトピー肌から美肌を目指す方、不妊症から安心安全な妊娠出産を目指す方、リバウンドしないダイエットを目指す方のための薬食同源ブログを書き綴りますのでよろしくお願いします。

イヌイ薬局では、常に漢方のお薬をご服用いただいても、食事が乱れているとなかなか改善しにくいため、正しい食事・薬膳について必ずお話ししています。

少し古い話になりますが、「冬のソナタ」で韓流ドラマが話題になったのち、続いて宮廷女官の権力闘争を描いた「宮廷女官チャングムの誓い：大長今」も人気の韓流ドラマでした。韓国らしいドロドロした権力争いの物語もさながら、私たち中医学を学ぶ者にとっては中医学や薬膳の知識がちりばめられていて、興味ひかれるものがあったので今更ですがtwitter、ブログ、FACEBOOKで解説してみます。楽しみながら、お読みください。

「宮廷女官チャングムの誓い：大長今」は５２話も続きますがAMAZONなどで無料で見ることができるので、1回目は権力闘争の物語として、２回目は中医学の学びとしてご覧いただくと、同じ物語を二度楽しめます。

今回は「宮廷女官チャングムの誓い：大長今」からもうひとつのお話をご紹介します。宮廷のなかでの権力闘争は、いつの時代どこの国でも壮絶なものがあります。特に側室同士の戦いはすさまじく、とりわけお世継ぎについては、王の子供を宿せば、一気に位があがる可能性もあるので様々な罠が仕掛けられたようです。

今回はお世継ぎ問題ではありませんが、王に対抗する新勢力のお話。長年床についている床ずれで苦しんでいる王を苦しめる為、「床ずれ」の時に食べさせてはいけない「豚肉」を毎食提供するお話です。

床ずれに苦しむ王に食べさせてはいけない食材とは？

スラッカンと呼ばれる王の食事を司る最高の位を代々受け継ぐ「チェ」一族が、王に対抗して次の王位を狙う新勢力でもその地位を守るため、「床ずれ」に苦しむ現在の王様に、寿命を縮めるために禁忌（食べさせてはいけない）の「生の豚肉」を毎食たべさせて、新旧交代を早める手伝いを裏で画策していたというお話です。

「豚肉」というと一般に栄養豊富なイメージですが、中医学でもそのとおりです。豚肉には、体液を補い身体を潤して体力を補う作用が有ります。

念のため、薬膳で豚肉は、性質（五気）は温めることもも冷やすこともしない平（ヘイ）、味（五味）はあまい味の甘味、作用を及ぼす臓器は（帰経）は消化器系と排泄生殖の役割をする脾（ヒ）・胃（イ）・腎（ジン）系、そして、体液成分を補い、身体を潤す食材、と中医学では考えられています。

注意

• 豚肉は生食しない。
• 体内に熱をもった湿気や痰（体液成分や水分の代謝がよくない場合にできてしまう不要な代謝産物、老廃物）がたまっている人は食べ過ぎてはいけない。
• 肥満・高血圧症の人はあまり食べないようにする。
• 風邪の引きはじめの人は食べてはいけない。

中医学では、豚肉はこんな風に考えていたので、床ずれやジュクジュクした浸出液を分泌する皮膚炎など身体に余分な老廃物や不消化物がたまっている場合には、豚肉などの潤す食材や生薬は症状を悪化させてしまいます。

床ずれで苦しむ王に、毎日豚肉を料理して、苦しめ、世代交代を早める手伝いをして、宮廷料理人としての最高位＝スラッカンの地位を守ったというお話です。

どうしても、豚肉を食べさせたい時は、生姜や山査子（さんざし）など消化を促進させる消導薬（しょうどうやく）と呼ばれる食材や生薬などと一緒に少量を食しましょう。

また、日本では生の豚肉を食べる習慣はありませんが、一般に煮たり焼いたりなど調理（修辞）したものより生のものの方がその食材が持つ作用が強くなります。

店頭でも、お刺身やお寿司の好きな方に掌蹠膿疱症（しょうせきのうほうしょう）が多いのはそのためです。掌蹠膿疱症は、手足に水泡ができてジュクジュクになってしまったり、強い痒みを伴う皮膚炎ですが、良く伺ってみると、お刺身、お寿司、お餅、せんべいなどがお好きな方が多く、日本ではお刺身は健康イメージがありますが、食べ過ぎるとアトピーや掌蹠膿疱症などの皮膚炎の原因になります。

この例でみるように、王家一族にとっても食事はとても大切で、この時代には韓国でも中国でも宮廷の料理人のほうが医師よりも位が高かったことがうかがえます。

実際に、王家一族を元気にするのも体力を奪うのも彼らに依存していたわけです。勿論、体調・体質に合わせるために毎日、顔色や二便をチェックしてさらに好みを配慮したうえで調理に工夫をして、最適なお料理を提供していたのです。

王の体調や食事は毎日克明に記録されていて、それらの経験を踏まえて中医学が誕生しています。その知恵を是非大切なご家族にも利用していただきたいものです。くれぐれも、ご主人さまには、悪用することなく優しくお願いします。

チャングムの誓い：大長今にまなぶ中医学 第一話から

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