蜂蜜（はちみつ）の薬膳的解説　

こんにちは
イヌイ薬局の乾康彦です。
薬局で漢方相談や薬膳の講座をしています。


今日は、蜂蜜（はちみつ）のお話です。蜂蜜は、古来
おくすり的な使い方をされてきましたが、日本に初めて
蜂蜜を紹介したのが鑑真（がんじん）とされています。

＊ダイエット中なら蜂蜜？白糖？

　あなたはどっち？

ダイエット中は、抵当湿を維持しておくことが大切です

蜂蜜は、全般に糖の吸収スピード（ＧＩ値）が穏やかで

白糖を１００とした時、アカシア蜂蜜は４５

なので

アカシア蜂蜜は、白糖の２倍以上ゆっくり吸収

されるので、ダイエット中の糖質補給は蜂蜜が

おすすめです。

＊ＧＩ値

ブドウ糖の摂取時の血中のブドウ糖濃度を100

として、食品ごとに相対的に測定した値で

• GI値70以上：高GI食品（血糖値が急上昇）
• GI値56～69：中GI食品（血糖値が中程度上昇）
• GI値55以下：低GI食品（血糖値が緩やかに上昇）

GI値が高い食品を過剰に摂取すると、血糖値が急上昇

して肥満や糖尿病の原因となる可能性があり

GI値の低い食品はインスリンの働きを改善し、膵臓の

負担を減らしダイエットや糖尿に期待できます。

今日は、様々な蜂蜜について、薬膳的に比べてみます。
が、まずは
＊薬膳素材として蜂蜜の薬膳的効能

蜂蜜は薬膳的に

【性味】甘 / 平
【帰経】肺・脾・大腸
【効能】補中潤燥・緩急止痛・潤腸通便
【応用】脾虚証あるいは皮膚乾燥、腹痛、慢性便秘



味は甘く、性質は温めも冷ましもしない平
蜂蜜が作用するのは肺・脾・大腸で
消化器系などお腹を補って身体を潤すことで乾燥を防ぎます。


痛みをやわらげ、腸を潤して便の排泄を促します。
脾＝消化器の弱いかた、皮膚が乾燥がちの方、慢性の
便秘や腰痛におすすめの食材です。


＊オーガニックの蜂蜜
蜂蜜のオーガニック認証として、ヨーロッパの決まりでは

蜂の行動範囲は約三キロなので、蜂の巣から六キロの範囲で
農薬の散布、工場その他の汚染源がない環境のなかで
集められた蜂蜜にオーガニック認証が与えられます。

欧米は、大地が広いので単花蜜（たんかみつ）といって
半径３ｋｍで単一の花、アカシアならアカシアだけの
ひまわりならひまわりだけの蜜を集めることが出来ます。

国土の狭い日本は、３ｋｍ以内にアカシアだけでなく
ひまわりや栃の花などがさいているので、様々な蜂蜜が
混ざった百花蜂蜜（ひゃっかはちみつ：雑密）が多く採取
されています。



＊花の種類によって異なる蜂蜜

　蜂蜜（はちみつ）とひとくちにいっても、様々な花の蜜
はそれぞれ成分も違うので、味わいや香りも異なっています。
様々な花による単花蜜を比較してみます。


＊アカシア蜂蜜　ＡＣＡＣＩＡ
　アカシアの蜂蜜ははちみつの王様と言われるほど
癖のないプレーンな味わいが特徴で、上品な味と香り
蜂蜜らしい蜂蜜といえます。

お砂糖の代わりに、紅茶にいれても濁ることが少なく
ドリンクの甘味として適しています。

アカシア蜂蜜で特に、嬉しいのは血糖の上昇がとても
ゆっくりな低ＧＩの甘味で

ＧＩ値が４５～なので、糖の吸収の速度はお砂糖の半分
以下、血糖の気になる方がお砂糖の代わとしてもご使用
いただきたいほどです。



＊ひまわりの蜂蜜　ＳＵＮＦＬＯＷＥＲ

　ひまわりの蜂蜜は、花粉（ＢｅｅＰｏｌｌｉｎｎ）
が豊富に含まれ、ひまわりの花のような鮮やかな黄色
になります。

花粉には、アミノ酸が豊富に含まれ、ひまわりの蜂蜜
の甘い味と花粉によるアミノ酸の酸味が入り混じった
しっとりクリーミーな味わいで、豊富なアミノ酸は美
しい肌を支えます。


蜂蜜と思えないほどクリーミーなので、個人的に大好き
な蜂蜜です。ひまわりの花の蜜は、サラサラですが蜜蜂
の酵素と混じりあうため粘度がでてきます。

成分的には、糖分、アミノ酸などがバランスよく含まれ
ビタミンＣだけが不足しているので、ビタミンＣを加えれ
ばほぼ完全なバランス栄養食といえます。


ビタミンＣが豊富な、檸檬やグレープフルーツなどの
かんきつ類のはちみつ漬けは、栄養素として身体が喜ぶもの
になるので、とても美味に感じます。

この、ひまわり蜂蜜は２０２４年はちみつグランプリを受賞
しています。


＊菩提樹の蜂蜜　Ｌｉｎｄｅｎ

　日本には少ない菩提樹ですが、菩提樹の蜂蜜は、樹木
特有の香りが、ハーブティーのようでフレッシュな香り
が楽しめます。

お気持ちが不安定な時などもすすめ。
成分的には、鉄分が多く含まれるので、多忙な女性の方
には特におすすめと言えます。


お酢とオイルと菩提樹の蜂蜜を混ぜたドレッシングなど
生理中など気持ちも明るく、身体にも優しくお楽しみ
いただけます。

＊オレンジの蜂蜜　ＯＲＥＮＧＥ

　オレンジの蜂蜜は、柑橘類やオレンジ特有のほのかな
苦みと上品な甘さと爽やかさが重なる蜂蜜。成分的には
ブドウ糖が多く、脳はぶどう糖をエネルギー源とするので
頭脳を使う受験生や認知症の予防に最適です。

ぶどう糖は吸収が早いので、脳のエネルギー源として補給
するときは、こまめな補給をおすすめします。


＊ローズマリーの蜂蜜　Ｒｏｓｅｍａｒｙ

　ローズマリーの蜂蜜は、爽やかなハーブの香りと後味
スッキリ上品な甘味が特徴です。

脂肪を消化する胆汁の分泌を助けるので、脂っこい食事
の消化やビタミンの吸収を助けるので、食前のサラダ用
ドレッシングやソースとしておすすめできます。

＊ヒースの蜂蜜　Ｈｅａｔｈ

　荒野に自制するヒースの花が蜂蜜の源です。美白用
の化粧品によく配合されているアルブチンを多く含むので
食べる美容の蜂蜜ともいえます。

程よいコクと渋みが魅力です。蜂蜜が固まったら
冬場など固く膝やかかとのパックとして、また
お顔やデコルテの美白のフェイスパックとして
スキンケアにお使いいただくのも一方です。


＊蜂蜜Ｑ＆Ａはちみつが固まるのは

蜂蜜は、気温が下がったりするとザラザラになったり
固まったりしてしまうことがあります。
大体気温が14℃～１６℃になると固まり始めます。

冬だけではなく、春先や晩秋に固まることもあります。

「固まる蜂蜜と固まらない蜂蜜」の違いは？

花粉と気温
　蜂蜜の糖分は、ブドウ糖と果糖です。気温が下がると
水に溶けにくいほうのブドウ糖が花粉を核にして固まり
始めます。

ですから、花粉とブドウ糖が多い蜂蜜ほど固まりやすい
といえます。

いずれにしても、固まった蜂蜜も４０℃～４５℃の低温

で湯煎すると柔らかい元の状態に戻ります。


「クリーミーな蜂蜜」の作り方・・振動

また、振動によっても生じた泡を核に結晶同士が結合
しやすくなるので結晶化が進みます。この性質を利用
して、クリーム状の蜂蜜に仕上げることもあります。


＊蜂蜜は腐るの？

「天然の蜂蜜」はグルコースオキシターゼと呼ばれる
酵素が含まれ強い殺菌作用があり、粘度が高く水分量が
少ないため雑菌が繁殖できません。高い熱をかけると
酵素が分解され殺菌作用も減少します。

これが、イヌイ薬局が
天然で非加熱の蜂蜜
をおすすめする理由です。



＊非加熱の蜂蜜について
非加熱の蜂蜜は、蜂の巣で熟成された蜂蜜を最低限の
濾過と４５℃以下の低温で溶解してものです。人間の
体内も４０℃前後なので、この非加熱の状態であれば
蜂蜜が持つ栄養素をそのまま味わいあ取り入れることが
出来ます。


＊蜂蜜の賞味期限について
　はちみつの賞味期限は２～３年が設定されますが、正
しく保管された蜂蜜はほとんど劣化することがないので
賞味期限を過ぎていてもおいしく召し上がれることが大半
です。



＊蜂蜜の加工による名称の違い

純粋蜂蜜　　ミツバチがつくったままなにも加えていない蜂蜜
加糖蜂蜜　　はちみつに水あめや人工添加糖をくわえたもの
生成蜂蜜　ジュースなどの食品加工に使いやすいよう
香りや色を取り除いたもの


＊天然蜂蜜スキンケア・ヘアケア

　天然の蜂蜜は、もともと傷の消毒や化膿性の皮膚炎
などにお薬のようにつかわれていたので、少し贅沢
ですがスキンケアとしてもお使いいただけます。

もちろん、スキンケアにも天然非加熱の蜂蜜をお勧めします。
使い方は様々で、カチカチに固まった蜂蜜などでも、

・蜂蜜の保湿力
・蜂蜜のビタミン・ミネラル・アミノ酸の補給
・自然な香り

などの目的でお楽しみいただけます。

・洗顔フォームと混ぜて蜂蜜洗顔
・化粧水に混ぜて保湿力アップ
・スクラブとして、ナチュラルピーリング
・粗塩やハーブと混ぜてバスソルトとして
・シャンプーに混ぜるとシットリヘアケア、地肌の潤い
で乾燥フケ防止、蜂蜜に含まれるビタミンでボリューム
アップ
・コンディショナーに混ぜて潤いアップでダメージヘアに

特に、目元と、口元など市販の美容液の使用が制限
されている敏感な部分には蜂蜜パックなどオススメです。



＊蜂蜜調味料

・カチカチの蜂蜜でも果物を漬け込んで２～３日でおいしいフルーツシロップ
　果物以外のバラや金木犀など香り高いハーブを漬け込
　んでも素敵に仕上がります。
・生のハーブやニンニクをつけこんでそのままお料理の
　風味づけに。ビネガーで割ってドレッシングやソースと
　しても。
・炭酸で割れば健康ドリンクの出来上がり。
・溶かしたバターを固まった蜂蜜に混ぜると、禁断と
　いえるほどおいしい蜂蜜バターのできあがりです。
　トーストでも、クラッカーでも。
　レーズン、ラム酒つけ枸杞、ドライクランベリーを加
　えるとさらにおいしくなります。

調理の基本は
さ・し・す・せ・そ

といわれ「さ」＝砂糖など甘味は最初に調理に投入する
のが原則ですが、蜂蜜は酵素なども豊富に含まれるので
調理の最後の段階４０℃～４５℃くらいで加えると酵素
の働きを失いません。


＊薬膳素材としての蜂蜜まとめ

１、基本的に蜂蜜には、薬膳的に潤す作用や殺菌作用が
　　あり

２、ブドウ糖、果糖等以外にもアミノ酸、酵素など
　　ビタミンＣ以外のほとんどの栄養素が含まれ糖以外
　　の補給にも適しています。

３、潤いと殺菌の作用は外用としても同様に期待で来ます

４、大切な酵素を失わないために非加熱（４５℃以下）
　　蜂蜜をお勧めします。高温では、酵素も、殺菌力も
　　失われます。調理時も４５℃以下での調理がおすすめ。

５、単花蜂蜜では、花の種類により味わいも香りも様々
　　な種類があり、成分にも特徴があります。薬膳的には
　　体調体質に合わせて選びたいものです。

これだけ優れた働きのある蜂蜜ですから、蜜蜂（ミツバチ）
さんに感謝しながら日常の調味料としてスキンケアとして
取り入れていただきたいものです。

オーガニック蜂蜜のご購入希望の方