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薬膳の中医学基礎・・薬食同源な夏の養生
こんにちは
今年2022年5月5日は二十四節気(にじゅうよんせつき)の立夏(りっか)を迎え、暦の上では夏を迎えました。本格的に暑くなる前に、薬食同源な夏の養生についてお伝えします。
季節に合わせた生活を過ごすことは、中医学では
冬病夏治療(とうびょうかじ)
といって、痛みや冷えなど冬におこりやすい病気は暖かい夏に治療しやすいといわれていきました。
圧倒的に輝く美と健康のために、中医学を基本とする薬膳では大切な養生と考えています。暦のうえでは、寒暖の差が激しかった2022年の春を終え、今年の夏を元気に過ごしていただくために、中医学で考える夏の過ごし方を総括しておきます。り長文になりますがご参考ください。
A.夏の特徴
中医学で夏という季節は、自然界の陽気が旺盛に溢れる季節と考え、まずその陽気を身体に取り込んでおきましょう。梅雨のあとには「暑さ」と「湿度」が高くなる時期なので、「熱」と「湿気」を溜めないように、過度な陽気を発散させておくと、気温が上がった真夏に熱中症や日射病、熱射病を予防することができます。
四季を細かく二十四に分けた二十四節気で夏に分類される節気は
・立夏(リッカ)は
2022年は5月5日に迎え、新緑が増え、いよいよ夏の気配が感じられる時期で、暦の上では夏です。
・小満(ショウマン)
は2021年5月20日に迎え、陽気が更に盛んになり農作物が徐々に成熟する時期です。
・芒種(ボウシュ)
は2021年6月5日に迎え、麦を刈り、稲を植える時期となります。
梅雨入りは、小満から芒種にかけて、全国的には梅雨に入り雨が多くなる時期ですので、この頃から湿気対策をしておきましょう。
お部屋や住まいは湿気取りをされるご家庭も多いと思いますが、身体も水はけのよい食材で不要な水を溜めないようにご注意ください。
体内の余分な水分の排泄を促進してくれる代表的な食材
小豆、はとむぎ、大豆、黒豆などを使ったとても簡単な身体の除湿レシピ
五色の豆ご飯 https://drug-inui.com/node/478
ご参照ください。
・夏至(ゲシ)
は昼の長さが最も長く夜の長さが最も短い日で、2021年は6月21日に迎えます。
・小暑(ショウショ)
は日増しに暑くなる時期で、2021年7月7日、2017年7月6日に迎えます。
・大暑(タイショ)
は梅雨の後で湿度と温度が最も高くなる時期です。2021年7月22日に迎えます。
B.夏によく見られる病気と症状
夏の時期に最も身体に影響を与える邪気は「暑さ」で、中医学では「暑邪(ショジャ)」といいます。
夏によく見られる病気と症状は
夏バテ、日射病、夏風邪、胃腸風邪、全身の倦怠感、息切れ、口や喉の渇き、尿量減少、手足の痺れ、筋肉痛、身体のだるさ、四肢のむくみ
などですが、さらに最近ではエアコンによる冷房病の症状として
冷え、頭痛、肩こり、鼻の弱い人は鼻炎に、呼吸器の弱い人は喘息になりやすい
などの症状が見られます。
特にエアコンの風を受けると腰痛、坐骨神経痛、膀胱炎、生理不順の悪化原因となることもあります。
また、夏場には皮膚病がよく見られますが、
アトピー性皮膚炎、とくにアトピー性皮膚炎のジュクジュクの悪化
あせもなど汗による接触性皮膚炎
大きなしこりができたり、フケ様の頭皮が落ちたり、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
その他、発熱に伴う様々な突発性発疹、蕁麻疹などや、多形紅班
などは治りにくいことが多いので要注意の皮膚疾患です。
皮膚病は、
漢方のお薬
スキンケア
食養生
の3ステップが大切です。
C.夏の養生のポイント
夏の養生のポイントは、自然界にあふれる「陽気」を適切に取り入れながら過剰な「陽気」を発散させることで、中医学では「夏長」と言われています。中医学の基礎となる陰陽五行の考え方では
火・夏・熱・心・苦
などがキーワードです。
火や熱など「暑さ」による邪気の暑邪(ショジャ)を追いはらうため、夏は清補(セイホ)といって体内に溜まった熱を発散したり、冷ますことがポイントになります。体内に熱を溜めなければ「夏バテ」「熱中症」「日射病」になることもありません。
とくに、夏の3ヶ月は播秀(バンシュウ)と言って
植物がさかんにおい茂り華やかな時期
とされています。
この旺盛な陽気を適切に体内に取り込むために「自然」と調和した生活を過ごしましょう。
夏は陽気の旺盛な時期なので、天地の気が互いに交わることによって万物は花が咲き実が実ります。
*万物の成長を妨げないためにも、自分自身の体調のためにも睡眠は早寝早起きをしましょう。
*太陽を嫌わず、物事に怒らず過ごすことが大切です。
*花が綺麗に咲き誇るがごとく陽気を外で発散し、発汗によって熱を散熱しましょう。
そのために、さながら恋人に惹かれるように外に出るようにして、夏の旺盛な陽気に応ずることが養生の基本です。
そして、「陽気」が過剰であれば
*陽気を発散させましょう。=陽気発散(ヨウキハッサン):
夏は昼が長いので、早起きにすることによって陽気を発散することができます。また、早起きは精神状態を旺盛にしてくれます。
*からだを潤しましょう=益気生津(エッキショウシン):
夏は気温が高く大量に汗をかくので、体力と水分を損ないやすくなります。気(力)と体液(津液しんえき)を補う益気生津の養生が夏の基本となります。食材なら
トマト、スイカ、パイナップル、胡瓜、冬瓜
など身体を潤し、余分な熱を冷ましてくれる食材がおすすめです。
D.冬の病気は夏に治そう:冬病夏治(とうびょうかじ)
中医学では、夏はただ暑いばかりでなく、冬の時期に患いやすい慢性病や陽気不足からの病気を、夏の養生によって好転させやすいと考えています。特に慢性気管支炎や喘息は改善が顕著にあらわれるといわれ、気温が高く陽気が盛んな夏には、患者の陽気を充実させやすく、抵抗力を高めるのに最適な季節と言えます。暑い夏という季節や「暑邪(ショジャ)」をうまく利用しましょう。
*夏の養生対策
中医学では、夏は心(シン)を主ると言われ、「心」は血液の循環を行うポンプとしての心臓と、心としての精神的な働きの両方を意味しています。気持ちが高ぶると心臓の鼓動が早くなるように、「心」は精神とも強く深く繋がりがあると考えています。
夏の暑さは心臓に大きな負担となるので、過労を避け、心臓休ませることで夏を健康に過ごすことが大切です。食材ちして夏のオススメの野菜=五菜は薤白(日本ではラッキョウに該当します)です。
鳥取名産の特別栽培のラッキョウ
一度お試しください。
ラッキョウ付けのレシピは
E.夏の食養生について
1 少糖多茶
甘い食べ物は必要なものですが、夜9時を過ぎてからはチョコレートなど濃厚な甘みは食べないようにして、胃腸の負担を軽減しましょう。夏に麦茶を飲むのは昔からの知恵ですが、舌に歯の痕(舌痕)がある場合は冷たくした飲み物は控えた方が良く、高齢者の体内水分量は60%以下なので、汗をかく夏場の高齢者は脱水症状になりやすいので気をつけましょう。
夏に心筋梗塞や脳梗塞が多いわけ
脱水症状に陥ると心臓の力が落ちてしまいますが、血液を増やすめの造血能力も落ちてしまっている高齢者は血液が凝縮されてドロドロ状態になってしまいます。血栓で血管が詰まることもあるので、真夏に心筋梗塞や脳梗塞が多発しやすくなります。中医学では心臓機能の低下を「心気不足(シンキブソク)」と呼び、高齢者の夏場の心筋梗塞や脳梗塞の予防にはこまめな水分の摂取は当然ですが、「心気(シンキ)」を補う西洋人参などのハーブなどで、心臓の力を補って、きれいな血液をたくさん作るように心がけましょう。
田七人参(でんしいちにんじん)、鶏血藤(けいけっとう)、ヨクイニン、陳皮(ちんぴ)などのお茶がおすすめです。
2 野菜中心の食事を心がけましょう
夏場の食事については、
胃腸の負担を減らして、
血液循環と
利尿作用を促す
食材として、
緑黄色野菜、しいたけ、キクラゲ、昆布、玉ネギ、ニンニク
熱を発散させるニガウリ(ゴーヤ)、トマト、セロリ、スイカ、冬瓜
などを多くとることです。
特に、熱を覚まし利尿作用でむくみを取るスイカは天然の白虎湯(ビャッコトウ)と呼ばれるほど熱を冷ますので、中国では夏の暑い時期によく食べられています。また、食事の偏りをなくし、肉類、チーズなど脂っこいものや塩分を避け、カニ、エビ、ホタテ、豆類や野菜などを豊富に食べておきましょう。
3 五味五色の食材では苦みと赤い食品
夏には
赤い食品
苦い食品
が心に良い食材なのでおすすめです。
赤い食材としては、たとえば
スイカ、あずき、レバー、トマト、リンゴ、イチゴ、うなぎ
など。
苦い食材としては
ニガウリ、さんま、魚のワタ、緑茶、セロリ、パセリ、みょうが、シソ
などです。
4 漢方養生
ハーブや漢方の養生について
余分な熱をさましてくれる
板藍根(バンランコン:藍染の藍の根)、蓮子心(蓮の種子の胚芽部分)、五行草(ごぎょうそう七草に使われます)、五味消毒飲(たんぽぽ、菊花、金銀花など華でできた漢方の処方ですが日本ではハーブになります)、菊花
などの生薬がお茶類がおすすめです。
とくに、菊花のお茶は、
熱を冷ましたり
眼精疲労に
中国でも日常的に良く飲まれています。
菊花茶のお求めは
夏バテの予防には、中国では
生脈散(しょうみゃくさん)、晶三仙(しょうさんせん)
などの漢方やハーブが良く使われています。特に熱中症、日射病の予防には生脈散(しょうみゃくさん)がおすすめです。
また、夏場にはノロ、ロタ、Oー157などをはじめとする感染性の胃腸炎が流行りやすいのですが、胃腸を守るには
カッコウショウキサン、ヨクイニン、
等がおすすめです。とくに中医学では?香正気散(かっこうしょうきさん)はおなかの消毒にもなるので、夏風邪の漢方処方として有名です。お刺身などの生ものを気温、湿度が高い時に召し上がるときに食中毒の予防にもなり便利です。?香正気散(かっこうしょうきさん)の代わりに、梅干しや食酢をうまくとりいれると予防になります。
E.生活養生
夏を元気に乗り切るために生活のなかで留意したいことは
1 規則正しい生活
まず
・充分な睡眠
睡眠を十分にとり、体力回復に努め、疲労を溜め込まないようにしましょう。良質で十分な睡眠はおくすりのように、というよりお薬では代替できないほど効果的です。
・冷房病を避けて
エアコンなど冷房の効きすぎた部屋に長時間いることを避けましょう。
・ストレス発散で心穏やかに
ストレスを溜めないよう発散に努めましょう。
・ぬるめの入浴をゆっくり
寝る前にシャワーではなく湯船につかって、心身ともにリフレッシュして、できればストレッチ運動などで血液循環を良くしましょう。
2、運動養生
暑い時期の冷房は体表の汗腺を閉じてしまうため、暑い室外に出た時に過剰な陽気を発散しにくくなってしまい、体内に熱がこもりやすくなってしまいます。その結果、
夏バテ、熱中症、日射病
などに見られる夏の様々な不調が起こりやすくなってしまいます。
夏の養生法の1つとして、朝晩の涼しい時間帯に散歩やストレッチ運動など軽い運動すると心臓を丈夫にする手助けとなります。
暑い夏の時期に体調を維持できたとしても、秋になって乾燥が進むと乾いた咳が出るなどの症状が出ることがありますが、これは夏の疲れの影響なので、夏の疲れはなるべく身体に残さないようにしましょう。
まとめ
1夏は「暑さと湿気」に注意
2「熱」と「湿気」を溜め込まないこと。食事は「赤」と「苦味」を意識して。
3 あり余る「陽気」を発散するため、早寝早起きで散歩しましょう。
4 冷えや痛みなど冬の病気は夏に治しましょう。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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