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不眠の薬膳と漢方
不眠症の薬膳と漢方について
中医学では、生命活動を
「陰陽」と「気血水」
という独特の要素によって考えます。
睡眠についても陰と陽のバランスによって
睡眠と覚醒
が引き起こされると考えます。
陰陽と不眠症・・・睡眠のスイッチ
① 「陽盛則悟、陰盛則課」
陽が盛んになれば目覚め、陰が盛んになれば眠るという意味です。
まず、陰陽について、中医学では
「活動的・明瞭・温熱・上方」といった火のような特徴のあるもの(昼・気など)を「陽」と呼び
「静寂・暗黒・寒涼・下方」といった水のような特徴のあるもの(夜など)を陰と呼びます。
身体のなかの、
陰陽のバランスがとれていると、睡眠のスイッチが円滑に切り替えられ
良質な睡眠を得ることが出来るだけではなく
快適に健康を全般的に維持できます。
気・血・水と不眠症・・睡眠の体力
気の中でも最も動きが活発な「衛気」は、
昼は体の陽の経絡(気の流れ道)を、夜は陰の経絡をめぐることに
よって陰陽のバランスを調えています。
通常、昼は陽が旺盛で、明る<暖かくなり、人々は活発に活動します。
反対に夜は陰が旺盛になるので、落ち着いて眠ることができます。
ところが、陽が盛んになりすぎた陽亢(ようこう熱の過剰冗進)、
あるいは陰が不足し過ぎた陰虚(いんきょ潤い不足)
の人は、夜になっても陰が陽よりも弱くて眠りの為の
陽を抑制することが
できないので、落ち着いて眠れなくなります。
②「陰陽相交則課、陰陽不交則不眠」
陰陽が互いに交流(バランス)していると快適に眠ることが
できますが、バランスが崩れると不眠に陥いってしまいます。
身体の陰陽の調節ポイントは、
心(火)と腎(水)
のバランスを調えることにあります。
五臓(肝・心・牌・肺. 腎)の中で身体の上部にあって、
動きが活発な心は陽に属し、火の性質を持っています。
腎は下部にあって、水に関わるので
陰に属し、水の性質を持っています。
中医学では
正常な場合は、心の火が下降して腎の水を温め、
凍りつかないようにする一方で、
腎の水は上昇して心の火が燃え過ぎないように抑制しています。
ところが
この心の火が強くなり過ぎたり、
腎の水が不足して心の火を抑制できないと、
身体は陽に偏るので眠れなくなります。
からだのゴミと不眠症・・
他に、血(血液)や水(水分)が停滞してできた
老廃物や不消化物
を痰湿(停滞した水分)と言います。
また血のめぐりが滞ってオ血(流れが悪くなった血液)
といいます。
この痰湿(からだのゴミ)や、
オ血(流れが悪くなった血液)
が心と腎の交流を邪廊をすると不眠に陥ります。
このように、
心と腎の正常な交流ができていない状態を
「心腎不交(しんじんふこう)」
と言います。
③ 「精気血養神則眠、神失所養而不眠」
ここで神とは精神のことで、
身体に精気(エネルギー)や血が充実し、栄養が行き渡って神(精神)
を養うことができれば眠れるのですが、
そうでない場合は不眠に陥るという意味です。
極度の肉体的、精神的な疲労も不眠の原因になります。
タイプで変わる不眠症の対策
不眠症は、陽が冗進したり、
気血水が停滞して陰陽の交流が妨げられた実証タイプと、
陰や血などが不足した虚証タイプ
に分けられ、対処法もそれぞれ違ってきます。
〈実証タイプの対策》
①心火冗盛証(しんかこうせいしょう:心の機能が充進した興奮タイプ)
興奮して落ち着かないことによる不眠です。
・口や舌が屹乾燥する
・舌炎ができやすい
・尿は少なく色が浪い
・顔が赤い
などの症状が見られます。このようなタイプには
黄連温胆湯(おうれんうんたんとう)
などが良いでしょう。
②肝鬱血オ証(かんうつけつおしょう:イライラ・血行不良タイプ)
せっかちでイライラと落ち着かない不眠。
・怒りっぽい
・胸や脇が脹る
・ロが苦い
・胸に熱がこもる感じ
・舌が紫
などの症状が見られます。このタイプには
冠元顆粒(かんげんかりゅう)
加味逍逝散(かみしょうようさん)
酸棗仁湯錠(さんそうにんとう)
などが良いでしょう。
③痰熱胆胃失和証(たんねんたんいしつわしょう水分停滞・熱過剰タイプ)
びくびくと驚きやすい不眠。
・胸がつかえる
・頭が重い
・めまい
・食欲不振
・吐き気
・ゲップが多い
・胃の膨濶惑
・舌の苔が黄色くねっとりしている
などの症状が見られこのタイプには
黄連温胆湯(おうれんうんたんとう)
が良いでしょう。
《虚証タイプの対策》
①心肝血虚証(しんかんけっきょしょう血液不足タイプ)
不安で心が落ち着かない不眠。
・動悸
・健忘
・めまい
•生理
・不順生理血の量が少ない
・顔面蒼白
・唇や舌の赤みが少ない
などの症状が見られます。このようなタイプに
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
酸棗仁湯錠(さんそうにんとう)
などが良いでしょう。
②心腎陰虚証(しんじんいんきょしょう心や叩門の潤い不足タイプ
・手足がほてり、口やのどが乾く不眠。
動悸
・健忘
・舌は赤
・苔が少ない
などの症状が見られます。このようなタイプには「天王補心丹」
が良いでしょう。
③気血不足証(きけつふそくしょうエネルギー・血液不足)
夢が多く目が覚めやすい不眠。動悸・健忘・やる気がで
ない・食が細い・便が軟らかい・顔面蒼白あるいは黄色
<艶がないなどの症状が見られます。このようなタイ
プには「帰牌錠」などが良いでしょう。
④陰虚火旺証(いんきょかおうしょう潤い不足によるのぼせタイプ)
・のぼせを伴う不眠
・手足のほてり
・動悸
・イライラ
・足腰のだるさ
・めまい
・耳鳴り
などの症状が見られます。
知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
・酸棗仁湯錠(さんそうにんとう)
などが良いでしょう。
それぞれの症状によって使用する薬が変わりますの
で、詳しくはかかりつけの薬局・薬店でご相談ください。
ふだんの節制法として、足を温めて頭を冷やす
「頭寒足熱法(ずかんそくねつほう)」
を試してみましょう。また、寝る前に
シベリア人参茶
を飲むのもおすすめです。また、無理に眠ろうとせずに、心と
身体をリラックスさせて息を整えてから床につくように
心がけてみてください。
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